始まりは、本「いしぶみ」だった

今のこプロジェクトの原稿にも書いたのですが、

なぜ私は戦争にこれほど関心を持つのだろう?

と考えた時、原点は1冊の本だったように思います。

小学生6年生、つまり12歳の時。
小学校の図書室で、たまたま1冊の本を借りました。

それが「いしぶみ:広島二中一年生全滅の記録」でした。

爆心地から500mほどのところで、建物疎開の作業をしていた広島二中の一年生が被爆し、
即死が大半、行方不明も多い、家に帰れたのはほんのひと握り、
救護所で家族が迎えに来る前に亡くなった者も多い。
そして家に帰れた者も亡くなってしまう。
その場にいた生徒(先生も)全員亡くなるという悲惨な話しです。

亡くなった生徒さんのご家族から集めた最期の様子を、ひとりひとり載せていました。
人から聞いた話しも含めて。

なんといっても、生徒たちは13歳。その時の私と1歳しか違いません。
同じ年代の子たちの悲惨な最期にうちのめされました。

①自分だったらどうしよう?

②自分に何ができるだろう?

③こうならないためにはどうしたらいいんだろう?

②③はもっと大人になってからですが、その時の私は①について、ついつい考えてしまいました。

特に、家族が迎えに来てくれるのを待って、待って、そして力尽きてしまった子。
自分が、親が迎えに来てくれるのを待っている姿を想像して、涙してました。

建物疎開の作業をしている時に、というのも、私には恐怖でした。
広島二中の子は、男の子ですし、家が近くになくても遊びにくることもあったかもしれない。
全然知らない場所ではなかったかもしれない。
でも、学校ではない非日常的な場所でこんな目にあったら、心細いことでしょう。

私なら絶対に1人で帰れない、と思ったら、それも涙です。
周りの大人も大変で、助けてはもらえないでしょうし。

そんな、追体験というべき感情移入をしてしまい、
他の何を見ても、

①自分だったらどうしよう?

と考えるようになったのです。

なぜか、そんな人は私だけだったらしく、図書室の「いしぶみ」を1年間で6回借りたのですが、
図書カードには私の名前しか並んでいませんでした。

学校でも、習いませんしね。私の頃は平和教育というものもなかった気がする。

祖父母に戦争体験を聞くという経験もないです。
海軍の軍人だったという祖父は私が幼い頃亡くなっていましたし。
両親は終戦時子どもだったし、地方出身なので戦争の影響なかったらしいです。

広島にも長崎にも縁もゆかりもないのですが、
なぜか私が戦争に関心がある、しかも特に広島原爆に、
というのは、この「いしぶみ」があったからかな〜?と思うのです。

「いしぶみ:広島二中一年生全滅の記録」は、
もともとはテレビ番組になっていたものの書籍化だったそうです。
その番組は知りませんでした。杉村春子さんが朗読したそうです。

2015年に再び番組リメイク。朗読は綾瀬はるかさんでした。
これは録画して繰り返し見ています。